南の島のたったひとりの会計士

南の島のたったひとりの会計士

 南の島のたったひとりの会計士
 出版社:扶桑社
 発売日:2006-11-01
 レビュー評価の平均:(5.0)

 さらにアイテムの詳細&口コミを見る


レビュー評価:(5)
15歳で故郷の奄美大島を離れ、苦労を重ねながら公認会計士となった。著者の屋宮久光さんは30歳を過ぎたころ父親の死をきっかけに故郷奄美への思いを強くし、奄美へ帰ることを決心する。

故郷奄美を豊かにしたいという思いを携えてタイトル通り、「ひとり」で挑むわけだ。国の補助に頼った島を国から自立させたい。

しかしなかなかうまくいかない。

屋宮氏の思いと島の人の思いが同じ方向に向いていないのだ。

挑む、ということは偉大だと思う。とくにそれが一人であったりするとき。

なかなかうまくいかないことが好転しはじめるきっかけは、ひとりであると思っていたが「ひとり」ではないことに気がついたとき、その賛同者に気付きありがたいと思い始めたときなのではないだろうか。

レビュー評価:(5)
東京の地を捨て、故郷である奄美大島での生活を選んだ著者のノンフィクションストーリーです。
登場する島の方々は、ひと癖もふた癖もある、かなりの強敵。
東京とは違った、島ならではの時間の流れやお金の流れ、人のつながりや暖かさ、帳簿の付け方さえ分からない島の人々に孤軍奮闘する著者の姿に、読んでいるうちにひき込まれ、一気に読めてしまいます。
タイトルに「会計士」と付くので会計関係の固い本と思うかもしれませんが、むしろ人と人とのつながりが描かれているので、そういうことに興味がない人にこそ読んで欲しい1冊です。

レビュー評価:(5)
表紙の鮮やかさにつられて、ついつい購入。でも、著者の波乱万丈の生き方に引きこまれた。著者は、東京でのエリート生活を捨てた。そして、故郷の奄美大島に戻って、会計士として孤軍奮闘している。島には著者以外に公認会計士がいないのだそうだ。そのため、悪戦苦闘の毎日だ。それでも、島と歩む著者には夢や希望がある。お金や地位に縛られず、その先を見続ける著者にエールをおくりたい。

レビュー評価:(5)
私も会社の決算書を見る機会が多い仕事をしていますが、私が感じていたことを、この本がズバリ、適格に分析していることに驚きました。
 公認会計士と言う会計の専門家から見れば、中央と地方(地方の中の更に底辺)との経営者の落差はこれ程までかと驚嘆します。
 中央のスピードについていけない地方の営みが、まざまざと表現され、地方にあって悪いこと、中央にない良いことが、会計の専門家と言う特種な目線で描かれている情景がまさに新鮮で、孤軍奮闘する筆者のこれからの人生が、どういうふうに展開するのか、読んだ後にじわじわと気になります。

レビュー評価:(5)
この本の著者は公認会計士の資格を持っている。大手の会計事務所に勤め社会的にも経済的にも満ち足りた状況であったのだが、奄美群島振興開発特別措置法で疲弊した郷土を救うべく、故郷である奄美大島へ戻る。ただし彼の故郷であるシマには上場企業といった会計監査の必要な企業や団体はほとんどない。大半は税理士としての仕事しかない地域なのだ。
 地元へ戻った彼は意気に燃えていた。都会で学んだ最先端のノウハウを還元して地元振興に力を尽くそうと考えていたのである。
 しかし、そこで待っていたのは一筋縄ではいかない地方経済の現実だった。シマ特有の時間感覚は都会のビジネスで鍛えられた彼にはコスト感覚の欠如と映った。友人まで巻き込まれた選挙違反により、公共事業に頼り切りの現実を突き付けられる。彼は何度となく現場で衝突し、孤独感にさいなまれた揚げ句、アルコール中毒にて身を持ち崩す。
 ようやく苦境から脱出した彼は経理面だけにとどまらず、経営上のコンサルティングでシマの中小事業所の再生に尽力する。
 地方の活性化はお題目ばかりで、現実は東京一極集中に歯止めがかからない。人もカネも知識もない地域社会はひずみを抱えたまま高齢化が進む一方だ。そんな現実に敢えて飛び込み、現場から泥臭く処方箋を見いだそうと悪戦苦闘する様は、きれい事に終始しがちな類書とは様相を異にし、迫力満点。何よりもリアリティがある。
 都会で功成り名遂げながら、それをすべて捨て去り郷土のために奔走する著者は男気すら感じさせる。地元の人との軋轢一つ一つにも考えさせるものがあった。
 地域の再生といったテーマに取り組んでおられる方は是非読んで欲しい。多くのヒントが提示されているように思う。様々な会計上の知識を実際の出来事を通じて分かりやすく解説してくれているので、経理初心者には入門書としてもお勧めだ。

さらにアイテムの詳細&口コミを見る